あらすじ
三年間、夫に触れられたことがない。
名ばかりの妻として伯爵邸に閉じ込められたシルヴィアは、ある朝、離縁届を食卓に置いた。
義母からの嫌味。夫の無関心。社交界での孤立。
けれど彼女には誰も知らない秘密があった。
夜ごと屋敷を抜け出し、六年間ひとりで育ててきた工房。王都で噂される月影の職人。その正体が自分だと知る者はいない。
離縁届を突きつけた日から、すべてが動き始める。
工房の前に現れた黒髪の青年は言った。
君の作品を五年間使い続けていると。
彼が何者なのか。なぜ五年も匿名の職人を追い続けたのか。
そして義母が離縁を絶対に認めない本当の理由とは。
自分の足で立つと決めた女と、不器用に寄り添おうとする男。
ふたりの選択の先に何が待つのか。