あらすじ

臓器移植コーディネーター・白石レイ、35歳。表では患者の命をつなぐ専門家として働きながら、裏では「社会的価値の低い人間」を事故死に見せかけて殺し、その臓器を富裕層や有力者に売る非合法の臓器調達者でもあった。10年前、心臓病の妻・サヤカを待機リストの中で失った彼は、「一人を殺して五人を救う」という功利主義の論理に取り憑かれていた。これまで23人を殺し、136人を救ったと信じるレイは、自らを“理性的な救世主”と呼んで疑わなかった。  ある日、大富豪から娘の移植を依頼され、レイは次の標的に引きこもり女性・桐谷ユキを選ぶ。だが、彼女の両親から「娘は就職活動を始め、人生をやり直そうとしていた」と聞かされ、レイの中に初めて違和感が生まれる。以後、過去の被害者を再調査した彼は、半数以上が「更生」や「再出発」を目前にしていたことを知り、功利主義の論理が“未来の可能性”を無視していると痛感する。「一人が救う未来」を奪えば、本当に救ったことになるのか――。レイの信念は音を立てて崩れ始める。  そして次の依頼に挙がったのは、亡き妻を救おうと尽力した医師・早瀬ケンジの娘・ミユ。彼女は貧しいながらも「絵で人を幸せにしたい」と夢を語る画家志望の女性だった。功利の計算では彼女を殺すべきはずが、レイは手を下せず、すべてを悟る――命の価値は、数でも地位でもなく、「誰かにとっての大切さ」で決まるのだと。  レイは自首し、24人殺害と142人救命の真実を告白する。「命の価値は誰にも測れない」と語って死刑判決を受ける。数年後、画家となったミユは「すべての命に等しい価値がある」と語りながら、彼からの手紙を展示する。壁には一枚の絵――「24人と142人」。犠牲者と救われた者たちが手を取り合うその絵の前で、レイの問いは永遠に残る。

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エブリスタ
エブリスタ2026/02/03
  • 現在の作品悪の臓器コーディネーター