あらすじ
ダミアン・ティーボルトは、世界を喰らい尽くそうとする「影」の侵攻を食い止めるべく戦い、そして三度死んだ。敗北のたび、彼の魂は十歳の自分へと引き戻され、時間が巻き戻る瞬間にいつも同じ神聖な温泉の前で目を覚ます。だが、彼の運命を握っているのは、賢者たちの評議会などではなく、荘厳さとは程遠い振る舞いを見せる一人のエルフの女神だった。
「光の聖域」にて、救済の秘術を守護する「博識」のアイリアナ。しかしその実態は、硫黄の湯気に包まれながら安酒の徳利を離さない、ただの酔いどれ女神である。底知れぬ知恵を持ちながらも、彼女には神としての品位など欠片もない。再会した救世主を待ち受けているのは、神秘的な啓示と、そして若き戦士の戦意を根底からへし折るような、あまりにもしなびたな洗礼だった。
最後の都市が闇に呑まれるまで、残された時間はわずか三十日。ダミアンは積み重なる死のトラウマと、あまりにも傍若無人な師匠の態度に振り回されることになる。これは、英雄が人類を救い、そして「家」へと帰るための、時間との、そして己の理性を保つための戦いである。