あらすじ
魔物が人々を飲み込む勢いで増え続けている。
そんなことなどお構いなしの冒険者ギルドは今日も賑やかだ。
これは、冒険者と傭兵たちの活躍を陰で支える職員のお話――――――
「早くしろ! 俺の新品の制服が汚れる前にな!」
ギルートの叫びに、レオは震える指で赤い紐に手をかけた。
(信じろ……この人を、信じるんだ!)
レオは覚悟を決め、紐を一気に引き解いた。
「うおおおおっ!」
巻物が開かれた瞬間、森の薄暗さが一変した。
羊皮紙に刻まれた紋様が、まるで生き物のように脈打ち、鮮烈な真紅の光を放ち始めたのだ。
それは教会の公示品で見られるような、ぼんやりとした明かりではない。
直視できないほどの強烈な魔力の奔流だった。
「な、なんだこれ……!?」
レオの手の中で、巻物が熱を帯びる。
だが不思議と熱くはなく、むしろ力が溢れてくるような感覚があった。
インクの一文字一文字が正確無比に魔力を吸い上げ、術式が組み上がっていくのが分かる。
「狙いは真ん中だ! 思いっきり放て!」
ギルートが魔物を蹴り飛ばして道を開けた。
レオは突き動かされるように、光り輝く巻物を群れの中心へと向けた。
「いっけえぇぇぇ――!!」