あらすじ
それは、慶安二年の冬、北のとある小藩でのことだ。
そこには、藩主護衛役役頭・阪崎(さかざき)龍田(りゅうだ)という男がいた。剣をのみ己を高める手段とし、剣にのみ喜びを見出してきた龍田。しかし、ある日に起きた『竹林道事件』という藩主襲撃事件によって、龍田は右腕を失うことになる。
求めた強さを遠くに見詰める龍田。その心中は失意に乱れた。
そんな中、ふと、龍田は街で一人の少女を拾うこととなる。少女の名は水無月(みなづき)白雪(しらゆき)。龍田は、街の裏道でチンピラ衆に絡まれていた白雪を助け、気を失っていた彼女を己の屋敷へと連れ帰った。
後日、龍田はかつての剣術道場の同門にして、若き藩家老・室谷(むろや)憲(けん)成(せい)の元を訪れる。その理由は、藩主護衛役の御役目継続を願い出ることだった。誇りを捨てて、憲成へと頭を下げる龍田。そんな龍田に、憲成は「良い。その見事なまでの無様さに免じて、…貴様の願いは聞き入れてやる」と、そんな台詞を言い捨てるのだった。
其れは、不器用な一人の侍が抱く、唯の覚悟の物語。