あらすじ
満員電車に乗れない私の「聖域」は、いつも彼が運転する車の助手席だった。 けれど、忙しそうな彼を見るたび募る罪悪感。「重荷になりたくない」と勝手な理由で、私は話し合うこともせず別れを選んでしまった。
「……もう少し違う結果もあったのかな」
後悔と孤独に溺れていたある夜、逃げ込んだバーで一人の男性・蓮(れん)に声をかけられる。 「大丈夫ですか? 辛そうに飲んでいるのが気になって」
お酒の勢いで、誰にも言えなかった本音を溢れさせてしまった私に、彼は静かに告げた。 「実は僕も、今日別れたばかりなんです」
似たような傷を持つ彼と過ごす、他愛もない時間。 それは、凍りついた私の心を少しずつ、けれど確かに溶かしていく――。 失恋から始まる、再生と予感の物語。