あらすじ
魔術がすべてを決める世界。
魔術学院に通う二年生の俺は、その中でただ一人――魔術が使えない生徒だった。
詠唱は失敗し、魔術陣は反応せず、実技成績は常に最下位。
教師からは見放され、生徒からは嘲笑され、退学寸前の劣等生。
それでも俺が学院に残り続けるのには、理由があった。
俺は魔術が使えないのではない。
――魔術ではない力、“魔法”を使える存在だったからだ。
魔術が世界の法則を利用する技術なら、
俺の力は、その法則そのものを否定するもの。
使えば一瞬で全てが終わる。
だから俺は、それを誰にも知られないよう隠し、最下位として生きることを選んだ。
だが、平穏は長く続かない。
名門貴族出身の同級生は、俺の存在を疎み、執拗に排除しようとする。
その双子の妹だけが、俺を“魔術で測れない存在”として静かに見つめていた。
やがて学院で起こる不可解な魔術事故。
責任を押し付けられ、公開決闘に引きずり出される俺。
生き延びるため、ほんの一瞬――世界に触れてしまった。
その結果、魔術は「最初から存在しなかった」ことになる。
異常は観測され、禁書庫が反応し、
世界はついに“俺の存在”に気づき始める。
隠れて生きたかっただけの劣等生は、
知らぬ間に“世界の基準点”になっていた。
これは、
魔術学院の最下位だった俺に、
世界が気づくまでの物語。