あらすじ
私の世界はいつだって静寂で、彼の世界はいつだって歪んだギターの音色(ディストーション)の中にあった。
教室の隅、窓際の席。そこが私、真理の定位置だ。
視線の先には、いつも見えない磁場が発生している。その中心にいるのは、ロック部のボーカル、剛くん。
机に腰掛け、乱暴に笑う横顔。足元には、命の次に大切だというギターケース。
彼が笑えば教室の温度が上がり、彼が歌えば空気の振動が変わる。
私とは、住む世界も、流れているBGMも違う。
一生交わることのない平行線。そう思っていた。
――あの日、放課後の教室で、彼が「秘密」を落としていくまでは。