あらすじ
他人の感情が「色」として見える共感覚を持つ少年・カイトにとって、世界は常にノイズに満ちた息苦しい場所だった。 そんな灰色の日常は、ある日の放課後、旧校舎の音楽室での出会いによって一変する。
「やっと見つけてくれたね」
ピアノの椅子に座っていたのは、転校生の少女・エマ。 彼女だけが放つ、透き通るような「透明な光」に触れた瞬間、カイトの世界は静寂と安らぎに包まれた。
強引な彼女に連れ回される、輝くような夏の日々。 海辺での合宿、秘密の共有、そして淡い恋心。 ずっとこの幸せが続くと思っていた。
しかし、二人の距離が近づくほどに、この町は静かに、けれど確実に狂い始めていく。 あるはずの山が消え、クラスメイトの記憶が失われ、祭囃子が不気味に歪む。 崩壊していく世界の中で、エマは哀しげに微笑んで告げた。
「お願い、カイトくん。私のことを忘れて」
なぜ、世界は壊れるのか? 彼女がひた隠しにする「秘密」とは何なのか? 眩しくも切ない、ひと夏の碧い記憶(メモリー)。