あらすじ
身に覚えのない罪で故郷を追われ、北の果てにある「魔王の城」へと送られたリリアナ。
そこで彼女が出会ったのは、国最強の魔導師でありながら、呪いによって味覚と体温を失いつつある孤独な公爵、アレクセイだった。
「俺は、ただの氷像として死んでいく運命だ」
閉ざされた彼の世界に、リリアナは「薬膳」という名の魔法を持ち込む。
しなびた野菜と干し肉で作った一杯のスープ。それが彼の舌に熱を与え、止まっていた時間を動かし始める。
これは、凍てつく大地で寄り添う二人が、温かい食卓を囲みながら、失われた絆と誇りを取り戻していく再生の物語。
やがてその熱は、国全体を救う聖なる光となって降り注ぐ――。
【登場人物紹介】
◆リリアナ・フローレス
冤罪で追放された元伯爵令嬢。実は稀代の「治癒の聖女」だが本人は無自覚。前世の知識を生かした薬膳料理が得意で、どんな食材も絶品に変える。過酷な環境でもめげないポジティブさと行動力を持つ。
◆アレクセイ・ヴォルガード
辺境を守護する「氷の公爵」。国最強の魔導師だが、ある呪いにより味覚を失い、自身の強大な氷魔法に体を蝕まれている。冷徹に見えるが、実は領民思いで不器用な性格。リリアナの料理に救われる。
◆スノー
アレクセイの城に住み着く伝説の聖獣フェンリルの幼体。最初はリリアナを警戒していたが、彼女の作る干し肉の虜になり、忠実な番犬(?)となる。
◆エドワード王太子
リリアナの元婚約者。真実を見抜く目がなく、リリアナを追放した張本人。偽の聖女に騙され、後に大きな後悔と破滅を迎える。
◆ミレーヌ
リリアナの義妹。可憐な見た目とは裏腹に計算高い性格。聖女の座を狙い、リリアナを陥れた。