あらすじ
辺境の村で生まれ育った少年、リオン・アルサンドル。
魔法の才能はからっきしだが、優しい姉と二人、慎ましくも笑顔の絶えない日々を何よりの幸せに感じていた。
だが、その平穏はある日突然、霧と共に現れた「猛魚の鎧」を纏う男と、その部下たちの手によって無慈悲に踏みにじられる。
姉の決死の覚悟によって、命からがら生き延びたリオン。しかし、再び目を開けた彼の前に広がっていたのは、灰燼と化した故郷と、物言わぬ姿となった姉の亡骸だった。
絶望の淵に立たされたリオンだったが、その時、彼の足元から意思を持つ「黒い影」――クロカゲが這い出す。
それは少年を嘲笑う不吉な存在か、あるいは孤独を埋める唯一の隣人か。
姉を殺し、村を滅ぼした宿敵の行方を追うため。
そして何より、今日という日を生き抜くため。
少年は姉から託された帽子と、故郷の証であるマフラーを身に纏い、新米冒険者として広大な世界へ踏み出す。
悲劇の先で、彼が咲かせるのは復讐の毒花か、それとも希望の華か。
心に消えない傷痕を抱えながら、影を宿す少年が往く、絆と波乱の冒険譚がいま幕を開ける。