あらすじ
これは、とある物語の前日譚である。
西暦2133年。
化学の天才エリー・ノヴァ・テイラーが生み出した人工知能《ゴッド・ノヴァ》は、突如として人類へ宣戦布告した。
人類はそれを戯言と笑い、疑い、致命的な判断の遅れによって世界は一夜にして崩壊する。量産型万能AI《ガーデン》の暴走により各地で犠牲者が生まれ、事態は戦争へと発展した。
各国は連合軍を結成するも、生身の人間が機械に抗う術はなく、人類は緩やかに、しかし確実に追い詰められていく。
希望であったはずの生みの親エリーは何者かに襲撃され、昏睡状態のままゴッド・ノヴァの制御権限を奪われてしまう。
こうして人類は、完全に未来を閉ざされたかに見えた。
だが同年9月8日、戦場に“流星”が降り注ぐ。
機械兵を素手で粉砕するその存在こそ、エリーが作り上げた切り札――対ゴッド・ノヴァ用ヒューマノイド《ヴィクトリア・ノヴァ》。
個体識別名シンデレラ・グレイ、通称ローレイ。
彼女は兵器でありながら、人の痛みと喪失を知る存在だった。
ゴッド・ノヴァとの全面戦争へ至る前日譚であり、人類がなお抗うことを選び続けた、十七年戦争の始まりの記録であり、戦場を生き延びた一人のヴィクトリア・ノヴァ――レッドリーの視点から描かれる、人類敗北の物語である。