あらすじ
失敗など存在しない。あるのは未解明の現象だけだ。
クロエはそう断言する変わり者の令嬢だった。
彼女の瞳には世界が巨大な実験場に映っている。
婚約破棄を告げられた夜も、彼女は泣くどころか笑っていた。
これで誰にも邪魔されず、愛しい失敗データの収集に没頭できると。
彼女が構えたのは、誰もが近づきたがらない魔導廃棄区の小さな事務所。
そこに持ち込まれるのは、爆発する剣や暴走する掃除機といった厄介事ばかり。
普通ならゴミとして捨てられるそれらを、クロエは目を輝かせて受け入れる。
彼女にとって失敗とは、成功よりも価値のある最高のご馳走なのだから。
そんな彼女の元に、歩く爆弾と恐れられる不器用な騎士が訪れる。
触れるもの全てを壊してしまう彼の魔力を、クロエだけが必要な力だと肯定した。
二人が手を組んだとき、単なる事故処理は国を揺るがす常識の書き換えへと変貌する。
捨てられた失敗作たちが輝きだすとき、正しさしか信じない王国は何を見るのか。