あらすじ
「――します。法廷の秩序を乱す行為は――検察官、朗読してください」
「はい。本件は――」
ここは……どこだ?
……いや、“どこだ”じゃない。これは――。
気づけばおれは、法廷の中央に立たされていた。灰色のカーペットが光を受けて、妙に艶やかに輝いている。傍聴席には無数の人影が見えるが、視線を向けると煙のように輪郭が揺らいだ。
壇上では裁判官が無表情のままこちらを見下ろし、やけに力のこもった声が耳に届く。起訴状とかいうやつだろうか、検察官が紙束を手に、毅然とした態度で読み上げている。その向かい側では、弁護士らしき男が肩をすくめていた。