あらすじ
2025年夏――
33歳のカトウ セイヤは、うだつの上がらない日々をただ消費するように生きていた。
同年代の結婚、子育て、仕事の成功。
世の中は前へ進むのに、自分だけが取り残されていく。
追い討ちをかけるように、成也は交通事故で「一生車椅子生活」を宣告される。
絶望と焦燥、孤独と劣等感が積み重なり、ついに彼は自ら命を絶とうと決意する。
だが、次に目を覚ますと、そこは見覚えのある天井だった。
周りを見渡せば本体の一部が点滅を繰り返し、メールを知らせている充電中のガラケー。BGMだけが鳴り続けている真っ黒な画面のPSP。袋からはみ出し乱雑に散らばっているゲオのレンタルDVD…
戸惑いは徐々に懐かしさと安心感へと変わった。
ここは“2009年”の自分の部屋だった。
戸惑いながら外へ出て、かつて毎日歩いた通学路を進む成也。
そこへ、名前を呼ぶ懐かしい声が響く。
振り返ると、手を振る幼馴染のタカハシ ミサキと、携帯を見ながら歩く親友のババ リョウヘイ。
二人は、2009年の夏の終わりに交通事故でこの世を去った、大切な存在だった――。
僕は…あの時、なんて言えばよかった?