あらすじ
善良であることを疑わずに生きてきた少女・アノンは、世界に用意された「正しい役割」を最後まで演じきった末、断罪され、すべてを奪われる。
その理由は単純だった――彼女は物語にとって、もはや必要のない存在だったのだ。
聖女でも、悪役でも、救済の対象でもない。
ただ「正しく振る舞いすぎた」彼女は、世界の歯車から静かに排除される。
追放の果てに生き延びたアノンは、そこで初めて気づく。
この世界では、善意も努力も、物語の都合の前では無価値であり、正義とは常に「多数にとって都合のいい暴力」であるという事実に。
生き残った彼女は復讐を選ばない。
代わりに、世界の構造そのものを見つめ、語られなかった真実を拾い上げていく。
誰が救われ、誰が切り捨てられるのか。
その選別が、いかに冷酷で、無自覚で、取り返しのつかないものかを。
これは、誰にも選ばれなかった者が、
それでも「存在しなかったこと」にされるのを拒み、
物語の外側に立つまでの記録である。