あらすじ
愛されたかっただけだった。
王の側妃として迎えられたダリアは、結婚式もなく、名ばかりの愛情と引き換えに
「子を産む役割」だけを求められる日々を送っていた。
王ロベルトは優しかった。
けれど彼は、正妃リリアンの支配と王家の責任の前で、
ダリアを守る決断ができない弱い男だった。
前世の記憶を持つマリアナは、その歪な関係を第三者として見つめながら、
かつて自分が選び、そして後悔した未来と、今を重ねていく。
――側妃に愛は許されない。
――子を産めば、母でいることさえ奪われる。
それでもダリアは、自分の意思で「産む」ことを選ぶ。
愛されるためではなく、
誰かのためでもなく、
自分自身を守るために。
これは、ざまぁも救済も派手には訪れない物語。
王宮という閉ざされた世界で、
選べなかった人々が、静かに壊れていく群像劇。
そして最後に残るのは、
ほんのわずかな、けれど確かな「静かな幸せ」。