あらすじ
将棋国とチェス帝国——異なるルールで駒を動かす二つの国は、百年以上にわたり終わりなき戦争を続けていた。
農村で静かに暮らしていた青年・歩一は、ある日、帝国軍の襲撃で故郷と家族を失う。復讐を誓い将棋国軍に志願した彼を待っていたのは、「歩兵」という最弱の駒としての現実だった。一歩ずつしか進めない。後ろに下がることすら許されない。仲間たちは目の前で次々と倒れていく。
「俺たちは関係ない戦争で死ぬのか?」
戦場で絶望する歩一に、歴戦の飛車が告げる。
「お前は知らないのか。歩は敵陣に入れば『成る』ことができる。最弱の駒が、最も化ける可能性を持っている」
一歩一歩、前へ。仲間の屍を越えて、敵陣を目指す歩一。だがこの戦争の裏では、将棋国も帝国も知らない、もっと大きな闇が動き始めていた。
百年の戦争は、終わりではなく——始まりに過ぎなかった。