あらすじ
「ルティア、君のような可愛げのない女とは婚約破棄する! 真実の愛を見つけたんだ!」
王宮の財務部で、婚約者の騎士団会計補佐ベイルが高らかに宣言した。
彼が抱き寄せているのは、私の部下だったゆるふわ令嬢。
周囲が遠巻きにする中、私は安堵の息を吐いた。
「承知いたしました。では、こちらは手切れ金代わりの『横領の証拠(裏帳簿)』です」
「は?」
彼が青ざめるより早く、その場を制圧したのは“氷の処刑人”と恐れられる監査局長オルシス公爵だった。
「よくやったルティア。君の監査は完璧だ。……さあ、報酬(私)を受け取ってくれ」
「閣下、その報酬は申請しておりませんが?」
これは、数字しか信じない地味な財務官が、冷徹公爵にその有能さと心を見初められ、外堀を完璧に埋められていく物語。