あらすじ
魔法が「過去のトラウマ」を燃料として発動するようになった近未来。世界を守る聖女・セレスティアは、全市民の絶望を一心に引き受け、その精神はヘドロのように濁っていた。
「お願い、私を殺して。もう何も感じたくない」
そう泣き叫ぶ彼女を、週に一度だけ「殺す」のが、僕——如月ハルの仕事だ。僕の異能は、人の感情を物質へ変換する。彼女の脳内に溜まった死に至るほどの苦痛を、僕は『宝石』に変えて摘出する。
けれど、この救済には致命的な副作用があった。
リセットを行うたび、彼女は僕と過ごした一週間の記憶を失うのだ。
これは、愛する君を毎週殺して「初めまして」を繰り返す、世界で最も静かな拷問の記録。そしていつか、僕たちがこの美しい檻を破壊するまでの物語。