あらすじ
結婚して三年。
皇后リオネルは、穏やかで満たされた日々を送っていた。
多忙な皇帝は、それでも必ず夜には戻り、彼の話に耳を傾ける。
贈られる花束、かけられる気遣いの言葉。
それらを、疑いなく「愛」だと信じていた――ある日までは。
図書塔で偶然目にした古文書の一節。
そこに記されていたのは、自分の辿る“結末”だった。
この世界は、かつて読んだ小説。
そして自分は、ヒロインに敗れ、断罪され、塔で孤独に死ぬ悪役皇后。
未来を知ってしまったリオネルは、決める。
愛を疑い、期待を捨て、静かに“その日”に備えることを。
離縁を拒むつもりはない。
誰かを害する気もない。
ただ、物語の終わりの先で生き延びるために――。
だが、彼の変化に、皇帝は気づいていた。
笑わなくなった皇后。
触れても、どこか遠い視線。
そして、皇帝のいない未来を見ている気配。
「守る」ための選択が、少しずつ世界を変えていく。
気づけば、逃げ道は減り、選択肢は狭まり――。
これは、
原作を思い出した皇后と、
彼を失いたくなかった皇帝が辿る、
静かで、甘く、そして残酷な物語。
愛は、救いか。
それとも、檻か。