あらすじ
将軍は、すでに死んでいた――。
和の国の平穏は、腐敗した香料と死臭に包まれていた。
覇権を狙う蘭家(あららぎけ)は、禁忌の陰陽術で将軍の死体を傀儡として操り、都を魔都へと変貌させる。
北の守護者・北条直道は、その真実を知ったがゆえに「人柱」として焼き殺された。
美しき母は生きた石像に変えられ、嫡男は封印され、一族は散り散りになる。
だが、蘭家は数え間違いをしていた。
北の雪原に捨てられた、一人の「落とし子」の存在を。
裏切りにより地獄の谷底へ突き落とされた雪之丞(ゆきのじょう)は、黄泉の狭間で、自身の血に眠る古の「龍の力」を覚醒させる。
時を同じくして、海の向こうからは流浪の姫が「百鬼夜行」を率いて帰還し、最北の地では「穢れの王」が海そのものを凍らせ、死者の軍勢と共に南下を始めていた。
神器、呪術、そして龍――。
七州の覇権を巡る、最も苛烈で残酷な戦記が幕を開ける。
勝つか、それとも蝕まれるか。
いま、和の国の理(ことわり)を、龍の炎が塗り替える。