あらすじ
この作品は『邪魅』をコンテスト提出用に改稿した物語です。
大学生の塚元潤は、趣味の写真撮影のために足を踏み入れた裏山の祠で、封じられていた邪魅に取り憑かれる。
写真を撮るほどに幸福感に満たされていく潤だったが、その裏で人の魂を喰らっていることに気付かぬまま、次第に理性を侵されていった。
異変に気付いた同級生たちの介入により、邪魅は一度祓われ、潤は救われる。
しかし事件の調査に訪れた者たちは、この土地そのものが抱える歪みに行き当たる。
邪魅を生み、集め、封じてきたのは、人が削り続けてきた山と、その営みだった。
祓われてもなお残る土地の記憶と、人の思念が呼び寄せるものは、完全には消えない。
すべてが終わったはずの場所に、白い花が咲く。
そしてシャッター音だけが、静かに響いた。