あらすじ

理由なんて、
はっきりしていなかった。
ただ、隣にいるだけじゃ足りなくて、
「いていい」じゃなく
「いてほしい」と言われたかった。

生まれた時から、
私たちは近すぎた。
母親どうしが幼なじみで、
家族ぐるみで、
いつも同じ景色の中にいた。

互いに手を伸ばして
一緒にいたわけじゃない。
気づいたら、隣にいた。
選択じゃなく、配置みたいな関係。

それが、
ずっと続くものだと、
どこかで思っていた。

成長するにつれて、
身体も、心も、
少しずつ形を変えていく。

誰かに見られること。
誰かに触れられること。
誰かに選ばれること。

そのたび、
私は初めて知る感情を
あなたに重ねていった。

でも、
あなたはいつも一歩遅れていた。
近いのに、遠い。
触れそうで、触れられない。

「幼なじみだから」

その言葉は、
守りでもあり、
逃げ道でもあった。

私は、
あなたの一番でいたかった。
でも同時に、
あなたの世界を壊す勇気もなかった。

だから、
選ばれない場所に
自分から立った。

応援するふりをして、
相談に乗るふりをして、
安全な距離を保ちながら、
心だけを削っていった。

恋だったのか、
情だったのか。
あの頃は、
名前をつけるには若くて、幼かった。

ただ一つ、
確かなことがある。

私は、
あなたに愛されたかった。

これは、
運命の話じゃない。

何度も間違えて、
それでも選び直した、
私たちの話だ。

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アルファポリス
アルファポリス2026/01/09
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