あらすじ
王都セレインで名門貴族の婚約者として生きてきたエレノアは、誠実な愛を信じ、婚約者アルベルトとの未来を疑っていなかった。
しかし彼は、恋愛を贅沢な遊び、結婚を損得で選ぶ契約と割り切り、裏では金と見栄のために歪んだ関係を重ねていた。
破綻の瞬間、裏切りを糊塗するためにエレノアを非難するアルベルトに、彼女は静かに告げる。
――自分にとって、あなたへの想いこそが恋だったのだと。
その言葉を最後に、エレノアは彼との関係を断ち切る。
深く傷つきながらも、自分の感情を否定しなかった彼女は、やがて王立記録院に勤める誠実な青年クロードと出会い、ゆっくりと信頼を育んでいく。
時は流れ、二人は家庭を築く。
庭で子どもたちと過ごす穏やかな午後、エレノアは「幸せよ」と迷いなく答える。
かつて失った恋は、決して無意味ではなかった。
その経験があったからこそ、彼女は本当の幸福を選び取ることができたのだから。