あらすじ
俺は勇者の住む村を滅ぼした。
正体はスライムの王……魔族だ。
まだ幼い勇者の仲間から姿を奪った俺は、共に村を旅立ち、魔族退治を続けた。
八年という長い時間をかけて、甘ったれな勇者を鍛え上げて信頼させた。
……主人である前魔王の元まで、俺たちは今、ようやく辿り着いた。
何も知らない勇者は、自分の頬をつまんで、俺に笑顔を向けている。
「ねえティーカー、勝ったら久しぶりに笑おうよ。
魔界に行く前に、昔みたいに。ねっ」
剣士ティーカー、か。
……残念だが、そいつはもういないんだ。
幼馴染として勇者が絶対的な信頼を寄せるそいつの姿を、俺は借りた。
最後にお前を裏切る……全ては、その時のために。