あらすじ
名門公爵家の令嬢エリシア・ヴァルクレインは、前世の記憶を持ったまま乙女幻想譚の世界に転生した少女だった。
彼女の立場は、本来ヒロインを妨害し破滅へ向かう“悪役令嬢”。
しかしエリシアは、原作には存在しない不治の病《魔脈崩壊症候群》を抱えており、感情が高ぶるだけで血を吐くほど病弱だった。
「悪役として立ち回るなんて、体力的に無理」
そう悟ったエリシアは、誰も妨害せず、争わず、ただ静かに生きることを選ぶ。
だがその姿勢は、皮肉にも学園の人間関係や事件の流れを大きく狂わせていく。
本来起こるはずだった陰謀や冤罪は形を変え、やがて学園内で虚偽証言と権力の歪みが露呈。
学園裁判の場で裁かれるのは、悪役令嬢のはずだったエリシアではなく、物語の“正しさ”に守られていた側だった。
その過程で、冷静沈着な貴族青年レオン・アーデルハイトは、エリシアの誠実さと弱さの中にある強さに惹かれていく。
余命わずかと宣告されながらも、エリシアは「役割」ではなく「自分の人生」を生きる選択をし、レオンと共に未来を選び取る。
病弱で、悪役で、けれど誰よりも逃げなかった少女は、
最後に“負けない悪役令嬢”として、静かな幸福に辿り着く。