あらすじ
王命により、辺境守備隊長カイルの妻となったエルネスタ。
義務的な結婚生活の翌朝、彼女は突然「ここが前世で読んだ恋愛小説の世界であり、自分が断罪される“悪妻役”である」ことを思い出す。
嫉妬に狂い、物語のヒロインと英雄の恋を邪魔した末に破滅する未来――
そんな役目はごめんだし、処刑エンドなんてまっぴら御免。
常識的な元日本人であるエルネスタは、さっさと離縁し、表舞台から退場することを決意する。
王都の外れで小さなパンとスープの店を開き、肩書きではなく“人”として生きる日々。
次第に店は町の憩いの場となり、エルネスタ自身も穏やかな幸せを手に入れていく。
やがて過去と静かに決別し、新たに出会った文官ルイスとの関係を育んだエルネスタは、
誰かの運命の踏み台ではない、自分自身の人生を選び取る。
――これは、悪妻として退場するはずだった女性が、
物語の外で見つけた、ささやかで確かなハッピーエンドの物語。