あらすじ
「釣り合ってないんだよ。お前は、天瀬さんに」
中学のある日、夏代燎はクラスメイトにそう告げられた。
彼には、幼馴染である天瀬ほたるがいた。見目麗しく文武両道で誰にでも気さくな、誰もが認める学校一の美少女が。
対してお前は何だ、何も取り得が無い人間のくせにどうして幼馴染だからって理由だけでそばに居られるんだと思いっきり貶されて──
燎は思った。──その通りだと。
だから言った。
「──じゃあ、釣り合えるように頑張るよ」
その日から燎はひたすら努力を続けた。
勉強も運動もそれ以外も、全ては完璧美少女であるほたるに釣り合うために。
その結果……どうやら少々頑張りすぎてしまったらしい。
(まだ全然釣り合ってないからなぁ)
(十分すぎるよ!? あとは想いに気づくだけだよ!)
燎は知らない。ほたるが小さい頃からずっと燎に尋常ではなく想いを募らせていることを。
(別に俺程度の褒め言葉で変に動揺したりもしないしなぁ)
(かわいいって! かわいいって言ってくれた! わーー!!)
表面上は完璧美少女なほたるが内面は燎の一挙手一投足に心が動きまくっていることを。
(……きっと、いつかほたるは俺から離れるんだろうな)
(絶対離れない! ぜったいいつか、燎に女の子として見てもらうんだから……!)
ほたるが自分の恋を叶えるために、燎に対して全力のアプローチを始めることは。
これはそんな、幼馴染の隣に立つために頑張ったら無自覚に頑張りすぎてしまった少年に、そんな彼が大好きな幼馴染が色々攻勢を仕掛け、概ね返り討ちにされ──
──そして、時々成果を上げるお話。