あらすじ
平凡な(だと本人は思っている)高校一年生の夏代燎には、幼馴染がいる。
名前は天瀬ほたる。見目麗しく文武両道で誰にでも気さくな、誰もが認める超絶美少女であり……
そして、自認『燎のことが好きな魔法使い』である。
……順を追って説明しよう。
彼女は、中学時代から得意だった歌を活かして高校ではVTuber活動を始めるつもりらしい。
VTuberという存在は、アバターの『設定』──たとえば人間じゃなかったりといった、特有の設定にちなんだロールプレイをやる側も見る側も楽しむ一面がある。
彼女はそれも自分で決めていて、曰く『好きな人に振り向いてもらうために魔法を頑張っている魔法使い』だそうだ。魔法使いであることに何かこだわりがあるらしい。
そして……その設定に従ったロールプレイで見てくれる人に好きになってもらえるように、まずは燎を好きにさせるような魔法使いっぽい振る舞いを練習している。言い換えれば、VTuberとして活動を開始するための実験を幼馴染の燎で行っているのだ。
そういうことなら、と燎もそれに付き合っているのだが……
「わたしのことが好きになっちゃう魔法。かかれー、はやくかかれー」
「君が格好良いって認めるまで離れられない魔法をかけました! わたしにも解けません! 仕方ないなー、そういう魔法だから仕方ないなー!」
「……わたしに、甘えたくなっちゃう魔法。これすっごい強力だから……安心して、甘えちゃっていいんだよ?」
なんだか、とてもそれだけとは思えないくらい燎にだけ積極的に迫ってきて……
……あれ。本当に、ただの設定でただの練習……だよな?