あらすじ
校内一の美貌を持ちながら、その冷徹なまでの無表情から「氷の令嬢」と恐れられる少女、氷室 零(ひむろ れい)。
そんな彼女と廃部寸前の文芸部で二人きり、静かに本を読む時間が、平穏を愛する高校生・神代朔(かみしろさく)にとっての日常だった。
しかし、冬の訪れとともに、彼女の「氷」に異変が起き始める。
「……寒い。暖を取りたい」
淡々とした口調のまま、神代の腕を抱きしめ、肩に頭を預けてくる氷室。
困惑する神代をよそに、彼女の耳の先は真っ赤に染まり、無機質なはずの言葉には熱い独占欲が混じり始める。
「私だけじゃない。神代くんの心臓も、うるさい……不整脈?」
感情表現が極端に下手なだけで、実は神代のことが好きで好きでたまらない――。
一度溶けだしたら最後、氷の令嬢の「好き」は、冬の寒さも、神代の理理性も、すべてを飲み込んでいく。