あらすじ
京都の大学に通う古都音(ことね)は、
中学生の頃から祖母の家で暮らす、少しお節介で好奇心旺盛な女の子。
ある日を境に、誰もいないはずの場所から
「ひとりごと」が聞こえるようになる。
仏壇の前、大学構内の大きな樹、古い物が並ぶ古本屋。
声の正体は、人ではなく――神様や仏様、そして付喪神たち。
最初は戸惑い、つい関西ノリで返事をしてしまい
周囲から怪しまれることもあったが、
古都音は次第に、“聞こえること”と“関わること”の距離を
自分なりに探るようになっていく。
気になったら、少しだけ近づいてみる。
無理だと思ったら、ちゃんと引く。
踏み込みすぎず、でも見て見ぬふりもしない。
実は祖母もまた、昔から同じ声を聞いてきたひとりだった。
特別な使命があるわけでも、選ばれた存在でもない。
ただ、聞こえてしまうだけ。
だからこそ大切なのは、
背負いすぎないこと、抱え込みすぎないこと。
これは、
日常のすぐそばにある不思議に首を突っ込み、
見て、聞いて、記しながら――
「ちょうどいい距離」で向き合っていく物語。