あらすじ
世界は、たった一人の犠牲で救えるはずだった。
終末現象〈崩壊〉を止める唯一の方法は、特異な因子を持つ少女・ユイを殺すこと。
選択肢はそれしかないと、国家も科学者も、人類そのものも断言していた。
主人公の青年・カイは、その「正解」を実行するために彼女のもとへ送り込まれる。
しかし、瓦礫の街で出会ったユイは、世界の運命など知らず、ただ静かに生きていた。
彼女は言う。「怖いけど、あなたが来てくれたから大丈夫」
理屈は完璧だった。
感情だけが、邪魔をした。
カイは引き金を引けず、世界を救う選択を放棄する。
その結果、終末は止まらず、文明は崩壊し、ほとんどの人類が滅びた。
ユイもまた、世界とともに消える。
滅びた世界でただ一人生き残ったカイは、過去を辿りながら問い続ける。
あの選択は、本当に間違いだったのか。
「正しさ」とは、誰のためのものだったのか。
これは、英雄になれなかった男が、
世界よりも重かった一人の命と向き合い続ける物語。
世界は救えなかったが、
それでも――君だけは救いたかった。