あらすじ
国立大学理学部の数学准教授・佐伯賢人は、絶望していた。 現代数学は複雑になりすぎた。10次元の宇宙、終わらない計算、理解不能なAIの証明……。かつて夢見た「真理」は、もう象牙の塔にはなかった。
ある深夜、逃避先で見つけたのは、再生数わずか25回のYouTube動画。 『【商業科補習】赤点回避のための、確率と"裏帳簿"の計算』 講師は、くたびれたジャージ姿の元商業高校教師「Q」。
「計算が合わない? じゃあ『鏡の世界』で帳尻を合わせよう。簿記の基本だね」
彼が「帳簿合わせ」と称してホワイトボードに書き殴ったのは、世界中の学者が100年かけても解けなかった、超難問の「完全解」だった。 これは、ポイント集めと株主優待に命をかける「爆走おじさん」と、その動画に世界で初めて気づいてしまった「エリート学者」の、奇跡と笑いの数学ミステリー。