あらすじ
港町で船主ギルドを率いる商会令嬢セラは、港湾伯爵家の次男ラウルと「家同士の同盟」として婚約していた。
誰もが見惚れる美貌のラウルは、求められると断れない。好かれていたい。喝采が途切れるのが怖い。――その優しさはいつも“外向き”で、傷つくのは一番近いセラだった。
夜会での小さな一線越えが噂を呼び、商会の信用は目に見えない速度で削られていく。
耐えるだけでは港が沈む。そう悟ったセラは、父から託された「形式」を手に、ギルドの法務局へ向かう。そこで出会ったのは、推測では動かず手続きだけを見据える書記ノール。
拍手の中心に立ち続けたい男と、信用を守りたい女。
港の未来を賭けた“紙の戦い”の先で、セラが選ぶ航路とは――。