あらすじ
幼い頃、交通事故で両親を失った久遠 恒一は、武闘家の家系に引き取られ、剣道と居合術に心の拠り所を見出して育った。迷惑をかけまいと感情を抑え、与えられたものを大切にし続けたその生き方は、やがて彼自身の核となる。高校卒業後は社会に出るが、ブラック企業で消耗しながらも地力で転職を重ね、ついには誰もが知る大企業の東京本社で若くして役職に就く。しかし最近になり、自らが自閉症スペクトラム傾向を持つことを知り、このまま組織に身を置くべきか悩み始めていた。
そんな折、全世界に突如ダンジョンが出現する。国家管理のもと教習を経て冒険者となった久遠は、鑑定眼MAX、無限のアイテムボックス、そして剣術という技能を授かる。それは彼の生き方そのものが形となった結果だった。会社員と冒険者、法と力、倫理と利益の狭間で揺れながら、久遠は戦い、作り、選び続ける。剣を振るうだけでは終わらない、現代社会とダンジョンをつなぐ静かな英雄譚が、いま始まる。