あらすじ
誰も来ない廃神社で、俺は今日も一円玉を賽銭箱に入れた。
願いは、ない。願ってはいけないと、そう決めていた。
家に帰れば、兄貴の怒鳴り声と母さんの泣き声。
この神社だけが、息をつける場所だった。
ある日、賽銭箱の上に、小さな子どもが座っていた。
銀髪に赤い瞳、白い着物を着た――神様らしい。
「そなた、なにゆえ願わぬ?」
名前も、力も、信仰も失った神様。
俺は「しらたま」と名付けた。
団子が好きで、コサックダンスを踊って、ポンコツで、無邪気で。
願わない少年と、願われない神様。
ふたりの、ちょっと不思議な同居生活。
九州の田舎町で始まる、和風ファンタジー。