あらすじ
ドラゴン、キメラ、エイリアン——。
ファンタジーじみた脅威が跋扈(ばっこ)するこの世界において、モンスターの「腹痛」は単なる体調不良ではない。それは都市を壊滅させる大災害(カタストロフィ)だ。
S級モンスターたちが苦痛に悶え狂う時、軍隊はミサイルを撃ち込む。
だが、エリート特殊部隊**『超危険生物対策獣医部隊(VET.O.P.S.)』は——医者を送り込む。
そこに現れるのが、ダヤン・“ホープ”・ダ・シルバ。
ブラジルのコンタジェンの埃っぽい田舎からやってきた、元鉱夫の獣医だ。
彼女は喧(やか)ましく、呆れるほど陽気で、たった一言の命令で怪物のストレス値を下げてしまう業界最強の『囁き手(ウィスパラー)』である。
しかし、ダヤンにはもう一つ、誰よりも目立つ理由があった。
緑色のジャンプスーツの、空っぽになった右袖だ。
かつて愛馬ゴイアスを崖から救う代償として片腕を失った彼女は、今、新たな戦いに挑んでいる。
チームメイトの必死の懇願も、最新鋭のハイテク義手の提供も無視し、彼女は頑として装着を拒み続けているのだ。
その原動力は、肥大化した自尊心(エゴ)と、絶対に「弱さ」を見せたくないという意地。
彼女は主張する。世界を終わらせるほどの巨獣たちを、文字通り『片手』で救ってみせると。
果たして彼女は、片腕だけで終末を食い止められることを証明できるのか?
それとも、その傲慢さがチームに初の「作戦失敗(ミッション・フェイルド)」をもたらしてしまうのか?
「第一に、害をなすな。
第二に、食われるな。
第三に……絶対にアタシに『手を貸そうか(・・・・・)』なんて聞くんじゃないよ!」