あらすじ
「家族になったから、殺したはずだった。この恋も、あの日の衝動も」
高2の夏、湊が駅で出会ったのは、一瞬で世界の解像度を変えてしまった少女・雫。だが、数時間後に再婚相手の連れ子として再会した時、二人は「恋人」になる選択肢を永久に失う。
「お兄ちゃん、お姉ちゃん、なんで喧嘩するの?」 5歳の義弟・陽太が首を傾げるほど、二人の日常は刺々しい拒絶に満ちている。しかし、それは「触れたら最後、家族が壊れる」という恐怖が生んだ、必死の防衛本能だった。
そんな湊の唯一の逃げ場は、深夜のDTM。ヘッドホンの中にだけ、誰にも言えない雫への執着と渇望を音にして閉じ込める。 一方の雫もまた、兄の部屋から漏れ出す「自分へのラブレター」に気づき、その旋律を盗み聞くことで、歪んだ恋心を繋ぎ止めていた。
一つ屋根の下、喧嘩という名の「ノイズ」で本心を隠しながら、音楽という「共犯」で繋がる二人。 学校のピアノ室で、放課後のリビングで。いつかこの音が溢れ出した時、崩壊するのは家族か、それとも――。