あらすじ
現代と変わらない世界に、ただひとつ――《特異値》という概念だけが存在していた。
同族を殺した者にだけ開示される数値。
それは力ではなく、世界の見え方を歪める病だった。
高校二年生の宮原瑞希は、偶発的な殺しをきっかけに《特異値》を得る。
世界は明晰になり、判断は合理になる。
それでも彼は信じている。
人を殺す理由は、存在しない。
だが、正しさを肯定する者たちは現実を最適化し、社会は静かに壊れていく。選ばなければ、救えない。救えば、もう戻れない。
これは、世界を救わない物語。
正しさを疑い続けた人間が、最後に何者として残るのかを描く――現代ダークSF・倫理悲劇。