あらすじ

「まだ書いているのか」
「君も書いてみたら良いじゃないですか。案外好きかもしれませんよ」
「じっとしているのは俺の性に合わん」
「でしょうね」
間髪入れずに言い放った春壱に、奏介はカチンとし彼を小突いた。彼はまるで猫の戯れだと言わんばかりにさっと躱し、執筆を続けた。
「君は単調ですねぇ。これで遊んでいてくださいね」
 そう言って、春壱は奏介に万華鏡を投げて渡した。奏介は万華鏡を素直に覗いたりもしたが、すぐに飽きて適当な本を開いた。
 しばらくの間、お互いのことをして過ごしていたが、ふと春壱が口を開いた。
「君、私のこと好きでしょう?」
「⋯⋯? いや」
「はて、私の勘違いか。随分私に執着しているように感じましてね。いや良いんです。違うのなら」
「何が言いたい」
「私も同じ気持ちだなぁって思っただけですよ」
 
俺はこの頃をどんなに切望したって、時はやり直させてはくれない。
だから、だからこそ春壱のことを見捨ててはいけなかった。

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アルファポリス
アルファポリス2026/01/08
  • 現在の作品暮色蒼然