あらすじ
ごく普通の「米派」の青年であった主人公の人生は、ある日、パンを愛しすぎる美女・あかりとの衝撃的な出会いによって一変する。出会い頭に彼女の持つフランスパンが喉を貫通するという事故(洗礼)を経て、彼はあかりが教祖を務める「パン教」の深淵へと引きずり込まれていく。
あかりの愛は次第にエスカレートし、彼を人間ではなく「パン生地」として管理し始める。逃げ場のない「ふわふわの地獄」から一度は脱走し、米派の戦士として立ち上がった彼だったが、あかりの支配力はすでに世界規模の「全人類パン化計画」へと拡大していた。
再びスパイとして教団に潜入し、過酷な「パン責め」の拷問に耐えながらも、彼は日本人の誇りである「米」の力で彼女を正気に戻そうと最後の決戦を挑む。しかし、あかりが最後に提示した、明るくも残酷なロジック――**「お米を粉にして焼いたら、それはもうパンじゃない?」**という究極の問いに、彼の精神はついに崩壊する。
米とパンの境界線が消失したとき、彼は自ら「意志を持つ一粒の米」であることを捨て、あかりに捏ねられる「一切れのパン」としての幸福を受け入れる道を選ぶ。炭水化物に翻弄された愛の物語は、不気味で穏やかな、黄金色の終焉を迎える。