あらすじ
金婚式の朝、糸島の空は絶望的な曇天だった。
「空が暗いなら、家の中を明るくすればいい」
凛として雑巾がけに励む祖母と、顔を真っ赤にして花を渡す不器用な祖父。
孫のオトモが見つけたのは、祖父が半年かけて準備した、あまりに泥臭く狂おしい「世界を塗り替えるための計画書」だった。
気象庁さえ予報できなかった、一月七日の奇跡。
一人の老人の執念と、一人の老女の祈りが交差する時、冬の空にあり得ない日本晴れが広がる。
「あなたの笑った顔が、私にとって一番の晴天です」
――これは、魔法も奇跡も信じない男が、ただ愛のためだけに空を奪い返した、幸福な一日の記録。