あらすじ
大陸最強の軍事国家、ラングナー帝国。
その絶対的な象徴であった先代皇帝が崩御した。残されたのは、帝国の秩序を根底から覆す、あまりにも苛烈な遺言状。
「四つの聖域に封印された『神獣の核(コア)』を奪い合い、玉座へ持ち帰った者を次代皇帝とする。――この期間、一族間の私闘禁止令を完全に解除する」
それは、皇帝の血を引く「化け物」たちの解き放つ、殺し合いの合図だった。
……列強の兄弟たちが、それぞれの野望と狂気を剥き出しにして動き出す中、末妹である第七王女、リザ・ラングナーだけは、溜息をついていた。
「皇帝の椅子なんて、座っているだけでお尻が痛くなりそう。私、降りるわ」
美しき紫の髪と、透き通った蒼い瞳を持つ彼女は、帝国の政治にも、権力にも、贅沢にも興味がない。
彼女が愛するのは、ただ一点。自分を壊してくれるほどの、あるいは自分が全力を出し切って壊せるほどの「強者」との邂逅。それだけが、この「戦闘狂」な王女の生存理由だったのだ。
しかし、彼女の隣に控える老紳士――執事マルコは、静かに囁く。
「お嬢様。私闘が解禁されたということは……貴女は今この瞬間から、敬愛する兄様や姉様方を、『合法的に』ブチのめせるということですよ?」
その瞬間、リザの世界は輝き始めた。
これは冒険ではない。権力争いでもない。
「皇族」という枷を外された本物の化け物たちと、命を懸けて、笑いながら殺し合うための――血塗られた祭典なのだ。