あらすじ

「私は、全てを忘れる事にした」 自分を責める足跡でいっぱいになった昨日を捨て、彼女は真っ白なノートのような「無」を選んだ。 音が消え、色彩が溶け、止まってしまったゆりえの時間。 けれど、その静寂を突き破ったのは、一匹のフレンチブルドッグの鼻鳴らし。 なぜだろう。何もかも捨てたはずなのに、その子の名前だけは胸の奥で光っていた。 「メルミ」――。 リードも、約束も、何もない。 けれどメルミは「半歩前」をトコトコと、たまらなく楽しそうに駆け出す。 「もたもたしてたら、置いていくわよ!」 その弾むような声に誘われ、ゆりえは空っぽのがま口を揺らして走り出す。 頬をなでる冷たい風、足の裏に伝わる確かな大地の鼓動。 旅の先々で出会うのは、タロットの象徴が姿を変えた、不思議で少し残酷な異世界の住人たち。 これは、誰かのための「正解」を脱ぎ捨てて、自分だけの「綺麗」をがま口に集めていく巡礼。 「1秒前の自分は、もう別人」 そう気づいたとき、世界は鮮やかな螺旋を描いて、あなたを新しい明日へと連れ出します。 ――さあ、メルミの背中を追いかけて。 心おきなく息ができる場所まで、一緒に走ってみませんか。

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小説を読もう2026/01/07
  • 現在の作品半歩前のメルミと、ゆりえのがま口 ― 螺旋のレクイエム ―