あらすじ
学園に入ってから、セシルは気づいてしまった。
ここはダンジョンと魔法が存在する乙女ゲームの世界で、
自分は――どのルートでも選ばれない当て馬ヒロインだということに。
告白すれば振られ、
物語が終われば、何事もなかったように実家へ帰る。
それが、用意された結末。
なら、もう一つだけ選択肢がある。
物語に参加しない。
攻略対象たちから距離を置いたセシルが組んだのは、
目立たないクラスメイトのエリオ。
派手な力はないが、戦場全体を見渡す才能だけは確かだった。
「どうせ最後は結婚する相手なんだから、
先に決めて、一緒に強くなった方がいいよね?」
そうして二人は、
周囲に秘密でペアを組み、
学園の“正解ルート”を無視してダンジョンに潜り続ける。
そして模擬戦。
正規ヒロインと主席ヒーローが並ぶ中、
セシルとエリオは勝ち方そのものが違うことを示す。
火力も、演出もいらない。
相手に何もさせず、静かに終わらせる。
崩れていく評価。
取り残される正規ルート。
気づけば、乙女ゲームのシナリオは成立しなくなっていた。
――これは、
負けヒロインが最短で勝ち切り、
モブと結婚して物語の外へ出る話。
エンディングは、
もう始まっている。