あらすじ
十七歳の少女は、悪魔の魔女と呼ばれていた。
災悪で史上最強。
数多の罪を着せられ、捕らえられ、塔に幽閉される。
しかし突然、その塔は爆破によって崩れ落ち、少女の姿は失われた。
災いは去った─
人々はそう信じ、街は平穏を取り戻した。
やがて街の外れに、小さな花屋が現れる。
名もなく、噂にもならない。
それでも、扉を開いた者だけが、同じ言葉を残す。
「祝福の魔女がいる」
花を愛し、静かに暮らすその店主は、なぜここにいるのかも、なぜ花を守ろうとするのかも、覚えていない。
ただ、花に触れるたび、胸の奥が微かに疼く。
彼女は知らない。
自分が何者であったのかを。
誰を愛し、自分が何をしたのかを。
崩れた塔の向こうに、取り返しのつかない過去が眠っていることを。
――これは、
悪魔の魔女と恐れられた少女が、祝福の魔女と呼ばれるまでの、記憶と花の物語。