あらすじ
「お集まりの皆様」
ルーナの凛とした声がホールに響き渡る。
豪奢なシャンデリアが照らす大広間には、数十人の関係者が集まっている。誰もが戸惑いの表情を浮かべ、互いに顔を見合わせている。
無理もない。彼らは当主の死を悼む法事に招かれたはずだった。
それが突然、若き女主人から「これより、叔父の悪事を暴く」などと宣言されたのだ。
広間の隅では、エドワードが静かに控えている。その隣には、青い顔をした会計係のリリィ。
そして俺──|真田巧《さなだたくみ》は、ルーナのすぐ後ろに立ち、テーブルの上に置かれた磁気のティーポットを見つめていた。
「ルーナ! いい加減にしなさい!」
太った中年の男が、顔を真っ赤にして立ち上がった。ビル・シルバーロード。ルーナの叔父であり、今回の「被告人」だ。
「兄上の葬儀の場で、この私を犯罪者扱いとは! お前の父上が聞いたら何と嘆くか──」
「叔父様」
ルーナの声は、氷のように冷たかった。
「父が何を嘆くか、ですって? 自分の遺言を偽造され、商会を乗っ取られようとしていたと知れば──怒りで墓から蘇るかもしれませんわね」
ざわ、と波紋のように動揺が広がる。
遺言の偽造。それは最も重い罪の一つだ……