あらすじ
過労死したはずの営業課長・佐藤(45)が目覚めた場所は、第二次世界大戦・東部戦線の泥沼だった。
しかも所属は、SSの面汚しと呼ばれる「第36SS武装擲弾兵師団(ディルレヴァンガー部隊)」。
構成員は密猟者に強盗犯、指揮官は悪名高き狂人。コンプライアンス皆無、即・死亡の超絶ブラック職場。
「こんなところで死ねるか! 俺は定年(終戦)まで生き残ってやる!」
物語は1942年、ベラルーシの深い森から幕を開ける。
神出鬼没のパルチザンと、容赦ない冬将軍。
佐藤(現・ハインリヒSS伍長)は、元・中間管理職の交渉術と「5S(整理整頓)」で荒くれ者の部下を掌握し、無謀な命令をのらりくらりと躱していく。
しかし、戦況は悪化の一途を辿る。
1944年、部隊は地獄のワルシャワへ。
市街戦の混乱と狂気の中で、彼は「戦犯回避」と「生存」のために、歴史知識を総動員して立ち回る。
偶然の早撃ち、趣味で改造したM36風の軍服、古参兵垂涎の行軍靴(マァシュシュティーフェル)。
そして「事務仕事でワインを守って貰っただけ」の二級鉄十字章……。
それら全てが周囲に「歴戦の古参兵(アルテ・ハーゼ)」という巨大な勘違いを生み出し、彼は望まぬまま部隊の要となっていく。
泥濘に咲く鉄十字は、希望か、それとも虚構か。
ビビリな内心と、冷酷な古参兵(という皮)のギャップで征く、サバイバル戦記。