あらすじ
「死を待つだけだった私に、あなたは『呼吸』を教えてくれた」
「妖精姫」と称される病弱な令嬢メルセデスは、原因不明の体調不良に苦しみ、社交界の片隅でひっそりと生きてきた。 久し振りに出席した夜会で、彼女は冷徹と噂される王国騎士テオドールに抱き留められる。その瞬間、彼女を縛り続けてきた息苦しさは消え、初めて「深く息を吸う」心地よさを知る。
それは、二人にとって運命の出会いだった。 彼女の不調の正体は、魔力が溜まりすぎる【魔力過多】。 対してテオドールは、魔力が枯渇しやすい【魔力欠乏】。 二人が触れ合い、魔力を循環させることこそが、互いの命を繋ぐ唯一の手段だったのだ。
「貴女の命を守るためにも、私の隣にいてほしい」
生き延びるため、二人は「一年の期限付き契約結婚」を交わす。 「必要だから大切にされているだけ」 「これは、治療のための義務」 そう自分に言い聞かせ、事務的な関係を覚悟したメルセデスだったが、待っていたのは想定外の毎日だった。